ドライブルート

2008年6月末から北海道ドライブ旅行をした時の日記です。車での北海道旅行は初めてだったので一日の走行距離を200〜300キロにして、 宿泊はあらかじめ予約して行きました。広大な北海道をほぼ一周する気持ちの良い旅行でした。
1日目 大洗港から出発
晴れ。昼前11時に出発。横浜新道、首都高、常磐道を経て茨木の大洗港に向かう。 渋滞もなく途中で高速を降り、ゆっくりと霞ヶ浦から海ぞいに北上し4時過ぎ大洗港に到着。 港の近くでガソリンスタンドとコンビニを探すが見つからず、港の売店で飲み物と食料を買う。
6時半の出船だが5時に車の乗船開始だった。
長距離フェリーは初めてなので船内を見て歩く。売店、レストラン、娯楽室、展望デッキなどがある。 出港すると陸が間近に見える沖合を北上して行く。波は静かで揺れも少ない。
居室はインターネットで予約したエコノミークラスの大部屋だ。寝る場所は指定されている。幅の狭いマットレスを自分で敷く。 混み具合は定員の半分ほどで若い人と中高年が半々くらい。 北海道ベテランらしいシニアを囲んでにぎわっているグループもいるが、 ほとんどが一人で所在無げである。隣の若者ははや寝る態勢だ。しばらく本を読んでいたが、風呂に入り9時過ぎには寝る。


本日の走行距離206キロ


2日目 苫小牧からニセコ
目覚めると岩手の宮古沖らしい。船内のテレビには現在地が示されるようになっているので陸地と見比べる。
下北半島を過ぎ津軽海峡に入ると北海道の山並みが見えてきた。
苫小牧港に定刻一時半に接岸。車で上陸すると早速洞爺湖サミットの検問があった。ニセコ方面に向かう。 広々とした直線道路を70〜80キロで車は流れて行く。途中給油をすると172円と本土に比べ明らかに高い。
支笏湖をへてニセコに向かう予定だが、ほとんど車が走っておらず、洞爺湖まで足を延ばす。 洞爺湖周辺ではますます警察車両が多くものものしい雰囲気である。
宿は民宿で泊まり客は一人。すすめられて近くの天然温泉に入りに行く。風呂上りに風が気持ち良く, 夕陽の羊蹄山も眺められた。








本日の走行距離124キロ

3日目 札幌
朝は霧がかかり羊蹄山もかすんでいる。道路はいたるところに警官がいて落ち着かない。 札幌へ向かう。
森林の中の道を走ると、北海道に来たと言う感を強くする。 走行にもだいぶ慣れてきたが、車の流れに乗るようにして、単独では飛ばさないよう注意をする。 札幌近郊でイサム・ノグチ基本構想のモエレ公園に寄る。

札幌に入ると交通量が多くなり、思いのほか時間がかかってしまった。 暑いこともあり、早めにビジネスホテルに投宿する。 すすき野、大通り公園あたりを歩き回り、早めに就寝。





本日の走行距離165キロ

4日目 札幌から旭川
話題の旭川動物園へ向かう。アザラシやペンギン、白クマなどの動物の水中での生態を見ることができて面白い。
円筒の水中にアザラシが現れると見物客は大喜びをする。レッサーパンダが頭上の橋を渡り下の見物客を見下ろしている。 混雑していた園内も昼過ぎには団体客も減り、スムーズに見物できるようになった。相変わらず今日も暑い。
美瑛、富良野を南下してトマムに向かう。幹線の237号をはずれて走るせいか、ほとんど車と出会わない。丘陵を眺めながら走る。
途中映画「ぽっぽ屋」の舞台となった駅を見かけ寄り道する。駅名は「幾寅」が正式名だが映画のセットのまま「幌舞」となっている。
こんな発見も楽しいものだ。











本日の走行距離299キロ

5日目 旭川
幹線の237号、愛称花人街道を北上してラベンダーを見に行く。
ラベンダー観光発祥の農園、ファーム富田を目指す。観光バスが何台も止まっている大きな農園だ。 早咲きのラベンダーが一面咲いているが本格的な開花はもう少し後のようだ。
その後は行き当たりばったりにパッチワークの丘などを巡る。
美瑛、富良野は車で回っても観光スポット間の距離が結構あるので見切れない。 もっと連泊してゆっくりしたい所だ。さらに明日からの北上のため旭川の隣深川に泊まる。





本日の走行距離は226キロ

6日目 サロベツ原野
留萌から、左手に日本海を眺め北上する。天気も良く、景色の良い所では車を止めながらのんびりと走る。 利尻島が左前方から対岸に見えてくるとサロベツ原野だ。今夜の宿はサロベツ原野の真っただ中にある。 早く着いたので風呂に入りゆっくりしていると同宿者が到着し始めた。 7時にみんなで夕日を眺めに海岸へ行く。
ここで小田原から来ているUさんと話をすると、この後二か所の宿も一緒と分かり驚く。50歳の時早期退職をしてから悠々自適だそうだ。 毎年車で北海道を回り今度で6回目とのことだ。その他の宿泊者は一人旅のサラリーマンや老夫婦などである。
夕食後庭に出て星空を眺める。あたりに光がないせいか天の川まで見え、流れ星もいくつか見つけた。

本日の走行距離207キロ

7日目 稚内からクッチャロ湖
サロベツ原生花園を見てからノシャップ岬、稚内、宗谷岬へと車を走らせる。
今日は風が強く、高台にある稚内公園では駐車場に止めた車が吹き飛ばされるのではないかと思ったほどだ。 はるか樺太も見えるはずだが海上は霧に閉ざされ島影は見えない。宗谷岬でも見えない。
日本最北端のガソリンスタンドで給油する。
左手にオホーツク海を眺めながらクッチャロ湖に向かう。車がますます少なくなってきた。まれにしか出会わない。
クッチャロ湖は冬の白鳥の飛来で有名だが今の季節はただ静まり返っているだけだ。 白鳥展望台から眺めても漁師が一人網の繕いをしているだけで他には人影もない。
湖畔の宿に着くとほどなくUさんも到着した。ほかの同宿者は神戸、名古屋、横須賀から来たライダーと 北海道の湖を回って調査している道庁地質研究所員二人だ。
ジンギスカン肉食べ放題の夕食後は飲み会となった。名古屋のライダーはUさんと同年代で50代後半だ。 仕事をやめて2年目無職で奥さんは働いている。そのため家に居づらいらしい。ひと月以上は北海道に居てと送り出されて来たと言う。
その彼が食堂の「ヘルパー募集」の張り紙に気が付き、その気になってきたのだ。 この宿は中年の女性一人で経営している。彼女も最初は冗談と受け止めていたが、話は次第に真剣になってきた。 ついに明日から試用期間と言うことになり飲み会はお開きとなった。

本日の走行距離167キロ

8日目 サロマ湖へ
朝起きると名古屋のライダーはエプロンがけで頭にバンダナを巻き、朝食の準備を手伝っている。
朝食後は皆で記念撮影をしてサロマ湖に向け出発した。途中オムサロ原生花園に寄るがまだ花が乏しかった。 時間も早いのでサロマ湖を通過して網走まで行き、網走監獄を見物する。

サロマ湖の宿に着くとキタキツネがトコトコと何か咥えて玄関先を歩いて行った。ここでは珍しくないそうである。
宿はUさんと他の一人で合計3名だった。





本日の走行距離288キロ

9日目 知床ウトロ
朝食前にサロマ湖を見に行く。霧がかかり遠くはかすんでいた。 今日の予定では摩周湖を回り知床に行くはずだったが、天気が悪いとの予報で知床に直行する。
せっかくだから摩周湖は天気の良い時に見てみたいものだ。
海から知床を眺めてみたいと思い港を目指した。観光船のコースは3種類あり一番長いのが半島の先端まで行く。 頻繁に出ている一番短い1時間コースにすぐ乗れた。やはり海から眺める知床は素晴らしい。 切り立った断崖とその向こうにそびえる山々が眺められる。断崖からは滝が流れ落ち、船はかなり岸に近づいてくれる。 途中イルカの姿も見かけた。
船を下り、知床五湖を散策するが、クマが出ると言うので一、二湖しか回れない。団体客や修学旅行らしい人々で満員である。 知床センターの裏手を歩いて断崖の上まで行きフレペの滝を眺める。クマ注意らしいが野生のエゾシカがいるだけであった。 それでも一人で歩いていると不安で帰り道は人を見つけてその後を少し離れてついて帰った。 今晩の宿は普通の民宿だ。泊っているのは二組でいずれも羅臼岳登山が目的だ。男三人組は神奈川から来ていて、斜里岳にも登ったそうだ。

本日の走行距離180キロ

10日目 知床東岸
朝方雨が降る。予定通りこの宿に連泊して今日はゆっくりすることにした。かけ流しの温泉に入り、旅行に出てから初めての洗濯をし部屋に干す。
次第に天気が良くなってきたので半島の反対側のラウスに行ってみることにした。知床峠を越えてラウスから先端の相泊まで行く。 霧が出て肌寒い。相泊で道は尽きる。見えるはずの国後島も霧でまったく見えない。 人はいないし店もない相泊の海岸べりにある露天風呂に一人浸かる。ややぬるいが目の前は海で波が押し寄せている。 湯に浸かっていると突然人が現れびっくりした。名古屋から一人で車で回っている人だそうだ。 引き返して宿でのんびりする。夕食はカニや刺身が主で値段の割には満足した。 今日新しい宿泊客はマウンテンサイクルで回っているリタイアの方だ。話を聞くと結構大変だとのことだが楽しそうだった。







本日の走行距離122キロ

11日目 摩周湖
昨日と同じコースをたどりラウスから南下する。野付半島を先端まで行き、原生花園を見る。 ハマナスやエゾカンゾウなどおなじみとなった花が咲き乱れている。タンチョウ鶴のつがいが餌を探しているのも見える。
先端の灯台で引き返し、内陸に進み屈斜路湖を望む美幌峠まで行く。折り返して摩周湖の見える確率が高い裏摩周展望台に行く。 このあたりの道はかなり摩周湖を大回りしているので距離を走ることになる。幸い摩周湖は全体が見渡せた。ここも観光客は少ない。
宿泊地の中標津に戻る途中で開陽台に登りぐるりと見えるパノラマを楽しむ。しかし海の方面は霧で、晴れていれば見えるはずの国後島は全く見えない。 中標津の町はきれいでいろいろな公共施設も整っているが、とった宿はビジネス旅館で仕事の長期滞在者が多く落ち着かない。















本日の走行距離は最長366キロ

12日目 納沙布岬
次の予定地納沙布岬まではあまり距離がない。途中の風連湖を海岸沿いに行けるところまで行ってみる。 野付半島と同じく原生花園があるが人はいない。海岸に漂着していた救命具にはロシア文字が書かれていた。流木を拾い土産とする。 相変わらず海上は霧で国後島は見えない。
風連湖をぐるっと回り根室に向かい、道の駅で昼食にエスカロップを食べる。これはまったくのローカルB級グルメだ。 バターライスに薄切りとんかつが乗り、デミグラソースがかかっている。 ボリュームたっぷりの花咲かにの味噌汁とほたてフライ定食にもひかれたが初志貫徹でエスカロップにする。 味はそこそこであるがまあ一度食べれば良いだろう。
たどりついた納沙布岬は霧の中であった。灯台からは「ブォー、ブォー」と霧笛が鳴り響いている。数キロ先のはずの水晶島も全く見えない。 しかも寒い。まばらな観光客も写真を撮るとすぐ車に引き返して行く。 思いついてデジカメをムービーにし、霧笛を録音してみる。 2010年3月末でこの霧笛も廃止となり、今となっては良い記念になった。
今宵の宿は落石だが霧に包まれて眼下の漁港も定かでない。絶景と言う岬も雨のような重い霧では行けない。 夕食は花咲かにをはじめとした御馳走で満足したのがせめてもの慰めだ。




本日の走行距離は最長366キロ

13日目 霧多布から釧路
釧路まではまっすぐ行けばあまり距離はない。そこで海岸沿いを霧多布を回りながらゆっくり行くことにする。
今日も霧が濃い。行き買う車もない林間の道を行く。途中見かける川は自然そのままで蛇行している。 車を止めて写真を撮っていると野鳥の声に混じって「ホー、ホー」とフクロウの鳴き声が聞こえてくる。
霧多布岬は全く霧の中で、確かに行ったのだが霧しか印象に残っていない。
厚岸に向かう道沿いの霧多布湿原にはエゾカンゾウが咲き乱れNPOが保存活動している。いつまでもこの姿をとどめてほしいと思った。 厚岸で牡蠣丼を昼食にし、海岸線を離れ標茶に向かう。標茶から南下して釧路湿原を走る。 細丘展望台は以前11月訪れた時に見えた湿原も霧に包まれ、まったくであった。
釧路では駅前のビジネスホテルに投宿。思いのほかしっかりした建物で部屋もまあ広い。、シングルなのにベッドはダブル並である。 和商市場をのぞきつまみにホヤの塩辛を買い、ホテルで北海道限定サッポロクラシックを飲みながら久しぶりにインターネットに接続する。






本日の走行距離は最長366キロ

14日目 襟裳岬へ
ホテルの朝食は自慢の自家製パンだ。たしかに美味しい。フロントの応対も良く、値段の割には設備も良く、 インターネットも無料でつなげる。また釧路に来たときは利用しようと思いメンバー登録をした。
今日のコースは特に見るべきところもないようだ。霧の釧路を出発してすぐの道の駅の裏で釣りをしている人を見かけた。コマイが釣れるそうだ。 襟裳岬に向かう道路は帯広に向かう道と別れるとほとんど車が通らない。途中湧洞沼に立ち寄ったがここにも見事な原生花園があった。
襟裳岬に向かう道は黄金街道と呼ばれる。巨額の費用をかけて作った道路だ。 岩肌に沿いトンネル続きで絶景が続く。天気は良くなり暑いほどになってきた。 襟裳岬からの眺めは展望も良く、 先端好きの私には満足の行くものであった。
泊ったは民宿はもとはユースホステルでほぼ岬の先端にある。 たまたま出発前のテレビでチャーハンが絶品と紹介されていた。 ただしそのチャーハンを作る人が長期の泊まり客で、彼がいないとメニューにはないと言う。 ちょうどその彼が泊りあわせていたので夕食はチャーハンとシカ肉のしゃぶしゃぶとなった。 チャーハンは米粒一つ一つがパラリとして美味しかった。




本日の走行距離は最長226キロ

15日目 苫小牧へ

ここの宿の名物、大漁旗を振っての見送りを受けて、帰りのフェリーに乗るべく苫小牧に向け9時に出発する。
200キロを3時過ぎまでに6時間で走れば良い計算なのでゆっくりと走る。目に着いたコンブ漁を眺め 新ひだか町のサラブレッ牧場に寄り道する。仔馬が母馬と放牧されている。カメラを向けると好奇心で近づいてくる。 実に可愛いものだ。
苫小牧に近づくと道は海から離れ次第に車も増えてくる。5時の乗船開始まで待合室でお土産など物色する。

フェリーの大部屋はがらがらである。お隣はバイクで来た中年ライダーで、すぐに北海道で知り合った同じく中年ライダーが集まってきて、 隠れた見どころなど話し合うのを聞く。その隣は茨城までの出稼ぎ職人のグループで、家族が持たせてくれた食べ物をおすそ分けになる。 山菜おこわ、イカ飯、蕨のキムチ、ホッケの燻製など食べきれない。イカ飯は今朝釣ったもので作ったと言う。やわらかいイカが美味しい。
フェリーはいつの間にか出発して8時過ぎになるとぼつぼつ寝る人が出てくる。

本日の走行距離は最長226キロ

16日目 帰宅
日の出は3時過ぎと早いので見逃してしまったが、波は静かで快適な航海だ。展望風呂で海を眺め朝ぶろにつかる。デッキに出ると風は強いが来る時にくらべて寒くはない。 ぼーっと海を眺めているといつの間にか時間が過ぎて行く。
定刻に少し遅れ下船し、しばらく一般道を走る。あまりにお土産が少なかったので途中、道の駅により買い物をする。一般道は信号が多いし車も多い。まことに走りにくい。 道草をしたおかげで常磐道では事故渋滞に会い、思いのほか帰宅は時間がかかってしまった。
事故もなく帰りつけて一安心と家で乾杯する。

本日の走行距離は208キロ。累計3430キロ走ったことになる。
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