ウイヴリスコム編

いよいよ研修先のウイヴリスコムへ向かい、また新しい生活が始まります。
だいぶイギリス生活も慣れてきましたが、日本人がいない環境でさてどうなることやら。
日付をクリックしてその日の日記を読めるようにもなっています。

  • 11月11日(日):ロンドンへ帰る
  • 11月12日(月):ハイド・パークとケンジントン・ガーデン
  • 11月13日(火):セブンシスターズ
  • 11月14日(水):オランダ・アムステルダムへ
  • 11月15日(木):アムステルダム
  • 11月16日(金):フェルメールを見にハーグ
  • 11月17日(土):ゴッホ美術館
  • 11月18日(日):アムステルダム国立博物館
  • 11月19日(月):スイス・バーゼル空港ヘ
  • 11月20日(火):バーゼル
  • 11月21日(水):ベルン
  • 11月22日(木):ラインの滝
  • 11月23日(金):ルツェルン
  • 11月24日(土):ユングフラウヨッホ
  • 11月25日(日):マドリッドへ
  • 11月26日(月):ピカソのゲルニカを見る
  • 11月27日(火):プラド美術館
  • 11月28日(水):トレド
  • 11月29日(木):セゴビア
  • 11月30日(金):マドリッドでおとなしく
  • 12月 1日(土):リスボンへ
  • 12月 2日(日):リスボン
  • 12月 3日(月):ロカ岬
  • 12月 4日(火):べレン地区
  • 12月 5日(水):一周してロンドンに
  • 12月 6日(木):ロンドンの雨
  • 12月 7日(金):ヨークに行く
  • 12月 8日(土):ヨーク二日目
  • 12月 9日(日):日本へ帰る日
  • 12月10日(月):日本への移動
  • 11月11日(日):ロンドンへ帰る


    秋模様のウオークパス途中の森

    ロンドンに着きオリエンタルシテイーで食べた
    久しぶりの海鮮丼?

    午後1時15分の列車でロンドンに帰ります。裏の丘のパスウオークもまた朝のうちに歩きました。ほんとにほんとウィブリスコム最後のウオークです。珍しく何匹もウサギが顔を出し、慌てて逃げて行きます。今日はキジの姿はあまりみかけませんが、たまに見かけるキジはここへ来た当初に比べるとかなり大きくなっています。牛は今日はウオークパスのすぐ脇で草を食んでいます。近づくと頭をもたげてこちらを見ています。のどかないつに変わらない光景ですが、空は曇りがちで木枯らしのような風が丘の上を駆け抜けます。木々は葉を落してもうすぐ来る冬に備えています。
    家に帰るとピートが町に最後の散歩に行こうと誘います。一まわりして帰り支度もすっかり整いピートに駅まで送ってもらいました。まだ時間はだいぶあるのに列車の到着時間まで待っていてくれると言うのです。ピートとは毎日よくしゃべりましたがこれでお別れです。最後はまた会おうとあいさつを交わし列車に乗り込みました。プラットフォームには列車が走りだすと手を振っている姿が見えます。
    これでトウトンは終わり、次は帰国までの間しばらくヨーロッパを旅行します。
    なお本日の列車は到着予定3時半を3時少しすぎにはロンドンパデイントン駅に到着しました!
    11月13日(火):セブンシスターズ


    イーストボーン駅

    セブンシスターズ

    明日からオランダですが、ロンドンビクトリア駅から海岸の保養地イーストボーンに行き白亜の絶壁セブンシスターズまで行ってみました。
    なにしろビクトリアの駅は広く、おまけに乗る列車には違うところに行く車両が連結されています。うろうろしてやっと乗り込みました。約1時間半でイーストボーンの駅に着きました。古そうな趣のある駅舎から海まで両脇にショップが続くメイン道路があります。海まで歩き桟橋まで行ってみましたが、夏ならさぞにぎわうだろうと言う雰囲気だけで、今は観光客など見当たりません。
    バスに乗り降りたところからセブンシスターズまでは川沿いにウオークパスになっています。しばらく川の左岸を歩くと河口から左に切り立った白い崖が見えます。その上まで登れる道を上がります。上は風が吹き、崖っぷちには柵もない草原がひろがっています。こわごわ端に近寄ると目の前には海が広がっています。つい先日見たランズエンドよりはおとなしい海です。この丘はなだらかに出発点のバス停まで続いています。ゆっくりと下って行く途中では羊や牛が草を食んでいます。
    イーストボーンに帰り今度は海側とは反対の丘側のウオークパスを歩いてみました。高台からは町が見渡せ、大変気持ちの良い眺めです。ところが天候が悪くなり雨が降り始めました。きっと夏の季節にこの丘に立てばさわやかな風と、素晴らしい景色を満喫できるだろうなと思いながら降りてきました。
    11月14日(水):オランダ・アムステルダムへ


    飛行機から見たオランダ

    泊まったB&Bの部屋です。左手を入ると書斎兼寝室

    ガトイック空港からほぼ定刻2時の出発でした。イギリスの海岸線を眺めてしばらく海の上を飛んでいるともう高度を下げ始め、オランダの海岸線が見えてきます。1時間もたっていません。空から見るオランダは全くのフラットです。ところどころに運河らしい水路も見えて、農地もきちんと直線で区分けされています。アムステルダム・スキポール空港に降りると、ひんやり肌に冷たさが感じられました。アムステルダムはロンドンよりも北にあります。オランダは初めてですが、来たいと思ったのは、フェルメールやゴッホの絵を見るためです。
    空港から電車で中央駅に出てトラムと言う路面電車に乗り、なんとか予約したB&Bにたどり着きました。初めての乗りものは乗車の仕方がわからなくて緊張します。時刻は夕方5時前ですが、もううす暗くなってきました。案内された部屋はお母さんの部屋だそうで、広くて天井も高く立派です。ただし照明は暗く、一人でいると気がめいってきそうです。
    暗くなり、勝手も分からないので、夕食は近くのスーパーに買い出しに行きました。並んでいる商品はイギリスとはだいぶ違っています。いろいろなサカナ類にエビやムール貝、イワシやタコ、イカのマリネなどもあります。スペインのタパスのようです。もちろんハムやチーズそれに野菜も豊富です。値段もイギリスよりはかなり安いようです。本場のハイネケンも買いこみ部屋で夕食です。ハイネケンは500ml缶で110円ほどです。マリネ風はオリーブ油がきつかったのですが、チーズは風味豊かで非常においしいです。それにしてもイギリスの食事のまずいことと、食材のないことは決して地理的な要因ではないなと思いながらの夕食です。
    11月15日(木):アムステルダム


    運河

    クルーズ船中からの景色

    朝7時でもまだ薄暗いのですが、今日は天気がよさそうです。
    アムステルダムの市内を歩いてみることにしました。歩いてライツェ広場まで行き、i(案内所)を探したのですが見当たりません。この広場は大して広くなく、夜になるとレストランなどでにぎわうそうです。地図を見て運河沿いにアンネ・フランクの家に向かいました。運河のある風景は目新しいので、写真など撮って歩いているうちにほどなく到着しました。日本人の姿もちらほら見えます。中に入って順路に従い隠れていた部屋まで行くと、割合広いのに驚きました。なにか壁の後ろの狭い所かと思っていたからです。しかしこうして目の当たりにすると、アンネ・フランク一家やユダヤ人に降りかかった悲惨な運命に厳粛な気持ちになります。
    後ろ手から王宮のあるダム広場に向かいます。修理中のような王宮ですが前のダム広場は広く、観光客がたくさんいました。次に旧教会を目指しましたが道が良く分かりません。諦めて、アムステルダム中央駅が見えたのでそちらに歩いて行きました。駅前のiで市内地図をもらおうとしましたが有料だそうです。トラムの回数券を買いiを出ると、1時間運河クルーズの切符を売っています。歩き疲れたので急きょ運河クルーズに参加しました。駅前でもどこでもアムステルダムは運河が走っています。乗り込むと最初はガラガラだったのが、出発間際に団体が乗ってきて満員になりました。どこの国の人なのかよく分かりません。ぐるりと市内を一巡してクルーズは出発点まで帰ってきます。運河から見る景色はまた面白いものです。こちらが眺めていると、岸の人たちもこちらを見物しています。
    下船してもう一度旧教会を探しましたが分かりません。歩き疲れてトラムに乗り、3時過ぎには宿に戻って来ました。田舎のフットパスを歩いていたので、石畳の道は足に響き、疲れます。
    11月16日(金):フェルメールを見にハーグ


    マウリッツハウス美術館

    ビネンフォフ裏手の池

    今東京ではフェルメールの「牛乳を注ぐ女」が展示されていますが、今回オランダに来てお目当ての一つは、フェルメールやゴッホをゆっくり見ることでした。
    海外に来て良い事は美術館でゆっくりと鑑賞できることでしょう。あまり混雑していないので、それこそ教科書に載っているような名画がまじかにじっくりと鑑賞できます。
    今日はフェルメールを見に、ハーグにあるマウリッツハウス美術館に行ってみることにしました。インターネットでオランダの時刻表を調べてハーグへの直行便に間に合うよう宿を出たのですが、トラムの前にいた車が警察の取り調べを受けています。遅れて駅に着き、切符を買えたのは発車間際でした。ところがホームを間違えて間に合わず、30分後の列車でハーグに向かいました。教訓として、待ち時間の間に月曜日の空港行きのチケットを前売りで買いに行きました。
    ハーグに着き中心地区のビネンフォフを目指し歩き始めましたが寒いです。ほどなくマウリッツハウス美術館が見えて、日本からのツアーと一緒に入場しました。美術館の規模はそんなに大きくなく、すぐ見て回れました。オランダの肖像画展が開催されていて、レンブラントもありましたが、やはりフェルメールです。「デルフト眺望」と「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」が同じ部屋に真向かいあわせに展示されていました。鑑賞する人は多いものの、作品のそばに寄りじっくり眺めるのに支障はありません。「デルフト眺望」は思ったより大きくて横は1メートル以上あるでしょう。雲のため明暗に分かれた町の様子などが良くわかります。「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」はその少し斜視の目線が右から見ても左から見ても見る人をとらえます。真珠の光沢はただ白い絵の具をちょんと置いただけのようですが、見事に輝きを表わしています。なおもう一点フェルメールの初期の作品「ディアナとニンフたち」もありましたが、かなり作風はちがっています。
    美術館を出てビネンフォフの裏手の池を巡っていると雨がぱらつき始めました。デルフトまで行こうかと思っていたのですが、指先が凍るような寒さなので断念し、アムステルダムに帰って来ました。
    11月17日(土):ゴッホ美術館


    ゴッホ美術館の入り口

    ニューマルクト広場の市

    昨夜買ったワインとチーズが美味しく、飲みすぎて早く寝てしまいました。おかげで朝早く目がさめ、また一寝入りしました。
    予定ではライデンに行き、シーボルトの遺品でも見るつもりでした。でも考えてみると、こちらの駅では改札口がありません。と言うことは昨日途中ライデンで降りれば良かったわけです。デルフトまでの往復切符を買えばハーグもライデンも行けたのです。
    なんだか行く気がなくなり、宿の近くのゴッホ美術館に行くことにしました。国立ミュージアムと一緒に明日行く予定だったのですが、歩いてトラム一駅ほどの距離で、途中公園などもありちょうど良い距離です。
    1973年開館のファン・ゴッホ美術館は、200点の絵画、500点の素描画、700通以上の書簡を含むフィンセント・ファン・ゴッホ(1853-1890)の世界最大のコレクションを所蔵。フィンセント・ファン・ゴッホ財団より永久貸与された作品を展示しているそうです。たしかに他の美術館では数点しか見られないゴッホが多数あります。年代別の展示を見て行くと作風の変化が良く分かります。
    昼食を宿で食べるため戻り、次はどこに行こうかとガイドブックを見ると市がいろいろあるそうです。トラムを乗り換え市めぐりをすることにしました。まずは王宮そばの切手市です。水曜と土曜に開かれているそうです。子どものころ切手を集めていたので懐かしく行ってみました。4,5軒の屋台で切手を売っていましたが、買い手もまばらでさみしいものです。次にトラムを乗り換えてノミの市に行きました。こちらはかなりの店があり、賑わってはいますが品物がイマイチです。古着と骨董それに土産ものが雑然と売られていました。近くにあるはずのレンブラントの家を探しましたが見当たりません。歩いて中心地のダム広場に向かいました。途中ニューマルクト広場で花や食料品の市があり、これが一番賑やかでした。数日いるとなんとか町の様子も分かり、かなり自由に歩けるようになります。今回は一都市5日間の予定で組みましたからゆっくりと町の様子も分かると言うものです。アムステルダムではトラムを利用すれば大体町の主要な所は回れるようです。
    11月18日(日):アムステルダム国立博物館


    国立博物館(改装中で左の棟しか開いていません)

    子供の席が前の自転車

    フォンデル公園

    「アムステルダム国立博物館の本館は2009年末まで改装工事のため閉館中です。この期間中、国立博物館のフィリップス棟で「ザ・マスターピース展」が開催されています。美しいドールハウス、贅沢な銀製品、最高級のデルフト焼陶器、オランダの歴史を彩る見事な品々、そしてもちろん有名なレンブラント、フェルメール、フランス・ハルス、ヤン・ステーンの絵画など、オランダ黄金時代のハイライト作品400点以上が鑑賞できます。」とオランダ政府観光局のホームページにあります。このホームページはたいへん良く出来ていて役立ちます。
    ライデン行きをやめたので時間がたっぷりあります。博物館で時間をつぶすつもりで出かけました。ガイドフォンを借りてゆっくり見て回ったつもりでも、2時間ほどで見終わってしまいました。17世紀のオランダの黄金時代の作品が主です。フェルメールは「小路」「青衣の女」「恋文」の三点が同じ壁に並んでいました。「牛乳を注ぐ女」は東京に貸し出していると掲示されています。館内は混みあっていますが絵の前では顔を近づけてじっくり見ることができます。中でも「小路」は印象に残り、売店で絵葉書を買いました。そのほかではレンブラントです。「夜警」は大きな部屋の壁を覆うような巨大な絵で、人物はほとんど等身大です。大勢見ている人がいてレンブラントの人気が分かります。
    遅い昼食をとり、ハイネケン・エクスペリエンスに向かいました。ビールの製造工程などの展示があり、ハイネケンビールの試飲もできるようです。ところが来年の5月まで改装で休館です。どうも改装中が多いようです。そんなに広くないアムステルダム中心地の見どころはほとんど回ったことですし、途中のフォンデル公園を散歩することにしました。この公園は細長くずっと続いていて、散歩したりジョギングしたりする人がたくさんいます。オランダは自転車王国で車道と歩道の間に自転車道があります。それこそひっきりなしに自転車が走っています。公園内の道路にも自転車がたくさん走っていました。面白いのは三輪車の逆で前の箱に子供を乗せるようになっている自転車です。
    11月19日(月):スイス・バーゼル空港


    アムステルダムのスキポール空港

    よこさんち

    今日はスイスに移動する日です。朝9時40分の飛行機なので前夜は早く寝ました。
    ところが朝4時前に目が覚めてしまい、まだ暗い7時前のトラムに乗って駅に着きました。
    スキポール空港は電車で15分ほどの所にあり、駅は空港の地下で、大変便利な所にあります。
    チェックインもスムーズに済み定刻に出発してスイス・バーゼル空港ヘは1時間弱で着きました。
    着いたところはスイスですが、これから泊まるところはドイツです。
    バーゼルはスイスとフランス、ドイツの三カ国の国境が交錯したところにあります。
    空港も出口がフランス側とスイス側にわかれています。スイス側に出なければならずややこしいです。
    空港からバスでバーゼル駅に向かいましたが、バーゼル駅もドイツとスイスの二つあります。
    スイス側の駅に着き、そこから電車に乗り換えてスイスのラインフェルデンと言う駅まで15分ほど乗ります。
    今回泊まった日本人宿の「よこさんんち」のご主人よこさんが出迎えてくれました。
    車ですぐの橋を渡るとそこはもうドイツです。「よこさんんち」はドイツにあります。
    国境がややこしいのですが自由に行ききできます。
    「よこさんんち」はご主人も奥さんも日本人で、着くそうそういろいろ説明してくださり、 買い物も一緒に連れて行ってくれました。大きなスーパーマーケットでスイスからも買い物に来るそうです。駐車場にはスイスナンバーの車がたくさん駐車していました。
    夕食は最初なのでと言うことで、ドイツの白ソーセージなど御馳走になり、ワインも飲みながら話を伺いました。
    よこさんは海外歴が長くてドイツ語も堪能ですし、ワイン通です。
    楽しく話を伺い、疲れと酔いで心地よい睡眠となりました。
    11月20日(火):バーゼル


    中央広場

    ライン川

    今朝は7時前のまだ暗いうちにオーナーのよこさんと一緒にボランティアで犬の散歩をさせました。ドイツでは日本のペットホテルのような施設があり、動物愛護協会の運営で犬と猫を預かっています。そこで預かっている犬の散歩をボランティアとしてさせたわけです。私の受け持った犬は老犬でしたがおとなしく散歩をしていました。よこさんのシェパードは勢いが良いので少し離れて後ろを歩きました。次第に明けてくる朝を気持ちよく犬と散歩しました。
    泊っているところはドイツですのでドイツ国鉄の駅から15分ほど電車に乗り、ドイツのバーゼル駅に行きました。構内の地下道を通るとそこはスイスです。途中通関のようなところがありますが、誰もいません。昨日は車でドイツに入り、今日は歩いてスイスに行くわけです。シンガポールとマレーシアの国境、チベットとネパールの国境など歩いて越えましたが、何にも検査の無い国境は初めてです。ともかく歩いてバーゼルの町を銀行を探して行きました。これからのスイス観光にはスイスフランに両替しておかなければなりません。銀行で両替して、あとは観光案内所で見どころを聞きました。教えてくれたのは古い入場門と中心の広場、それに教会です。入場門は人に聞いても場所が良く分からないのでパスして、残りの二つをぶらぶら見物しました。教会の裏手はライン川で眺めは素晴らしいものでした。広場はクリスマスの飾りなど準備中でこれからのシーズンはきっと華やかになるでしょう。
    11月21日(水):ベルン


    バラ園からのベルン旧市街

    ライン川にかかる国境の橋

    鉄道にもどうやら慣れてきたので少し遠出をしました。スイスの首都で旧市街は世界遺産にもなっているベルンに行ってきました。バーゼルからICと言う急行で1時間弱です。今いるドイツのラインヘルデンはライン川をはさんで同じ町がスイスとドイツにあり、スイス側とドイツ側に各々バーゼルまでの列車が走っています。今回はスイス鉄道のラインハルデン駅から乗りスイスのバーゼル駅で乗り換えました。ややこしいようですが、昨日はバーゼルの町に行くのに、ドイツ鉄道のラインハルデン駅から乗りドイツのバーゼルで降りたわけです。町はあたかも一緒のようになっていますが、ラインハルデンもバーゼルもスイスとドイツに分かれていて、鉄道の駅も同じ名前で離れて両国にあるわけです。当然スイス、ドイツ鉄道は自分の国を走っています。国境地帯はややこしいですね。
    ベルンの観光案内所は駅にあり、無料で市内の地図をくれます。この地図が観光ルート入りで、その通り歩くとほぼ名所を網羅できます。バラ公園と言うところから市内を見渡せ、遠くには雪をいただくアルプスも見えました。上から眺めるベルンは絵のようです。市内は道路工事がそこらじゅうで行われていて、連邦議会議事堂なども修理中でした。メイン道路は両側がアーケードで、ショップが軒を連ねています。
    帰ってきたのはスイス側のラインヘルデンですが、国境の橋が時間制限で車が通れないため、駅から歩いて橋を渡りました。15分くらい歩いて橋を越えるとそこに通関がありますが、呼び止められもしません。前を歩いて通り過ぎただけです。ドイツに入国したわけで、そこによこさんが車で迎えに来てくれていました。5時少し過ぎですが、あたりはうす暗くなっています。ライン川を渡り国境を越えたのですが、毎日国境を越えると言う何だか不思議な体験をしています。
    11月22日(木):ラインの滝


    ラインの滝

    お城からの眺め お城の土手はブドウ畑でした

    雨模様であまり外出したくない天気です。よこさんからラインの滝でも行ってみたらとアドバイスされて重い腰をあげました。
    ラインの滝はライン川唯一の滝で、ここで船は進めなくなります。いったん荷物や人は川から上がり、乗り換えます。そのため滝の近くのシャッフハウゼンの町はたいそう繁栄したと言うことです。またここはライン川を越え、ドイツ側にスイス領が入り込んでいます。第2次大戦でドイツと間違われて連合軍の爆撃に会い、スイスで唯一の戦争の犠牲者が出たそうです。
    ドイツ鉄道で行きましたが、シャッフハウゼンの駅だけスイスにあります。降りるともうスイスですが、普通の駅で降りるのと変わりありません。ただ別のホームにはスイス鉄道の列車が停まっています。
    駅前からバスに乗り10分ほどでラインの滝に着きます。歩道に足形で滝へのルートが書いてあります。それに沿っていくと滝のすぐ脇に出ました。高さはそんなにありませんが間近で見ると迫力があります。春には雪解け水で水量がもっと増すそうです。滝の下のライン川はちょっとした湖のように広くなっています。ぐるりと半周しましたが、観光客はまばらです。
    帰りの列車を待つ間に、シャッフハウゼンの町の旧市街を回り、お城に登りライン川を眺めました。
    11月23日(金):ルツェルン


    カペル橋

    ライオン記念碑

    相変わらず雨模様の天気ですがめげずにアルプスの中腹ルツェルンに行ってきました。
    ここもバーゼルから1時間ほどの所です。ドイツ鉄道もスイス鉄道もなんとか慣れました。今日はスイスのラインフェルデン駅に行きスイス鉄道利用です。スイス鉄道の割引として1ヶ月間半額になる券を買っています。ルツェルンまでの往復で33ユーロ5000円ほどになりました。これでも半額です。
    ルツェルンに着くと案の定雨が小降りに降っています。傘をさすほどではないのでカペル橋に向かい歩き始めました。途中郵便局があったので寄り、イギリスのジャックに誕生日カードを送りました。売っているカードがドイツ語でよく分からなく、居合わせた東洋系の人に英語で聞いたらなんと日本人でした。カードは5フランなのに郵便料金は2フランにもなりませんでした。1スイスフランは約100円です。
    カペル橋は1993年に火災にあい再建されたそうですが、橋の途中に塔がたち、木造の屋根も付き少し途中で折れて、なかなか風情のある橋です。渡ると旧市街で同じような石畳の小路がいろいろあります。たくさんの人が出ていました。
    ライオン記念碑と氷河公園を目指して行きましたが直前で迷い大回りしました。ライオン記念碑はフランス革命のときのスイス傭兵の慰霊碑だそうです。泉の向こうの岸壁にかなり大きな彫刻です。その隣が氷河公園です。実際の発掘された氷河の跡が展示されていたり、現在の後退している氷河の様子が映写されていたりしてなかなか面白いです。また展望台がありましたが、本来なら見えるはずのアルプスの山並みはおろか町もかすんでいるような状況でした。
    11月24日(土):ユングフラウヨッホ


    アイガー北壁の駅のつららの下がる窓からの眺め

    ユングフラウヨッホで背景の山がないので
    屋上出口をバックに着ぶくれた私

    どのガイドブックにもスイスと言ったらアルプスです。でもスイスに来てこれぞアルプスと言う景色をまだ見ていません。バーゼルやルツェルンでもアルプスをちらりとしか見ていません。
    そこで今日は本命のユングフラウヨッホへと出かけました。朝6時台の電車でバーゼルまで行き、約2時間でインターラーケンです。これでスイスは半分ほど縦断していますから、スイス国内の移動は知れたものです。それから3本の登山列車に乗り、ヨーロッパで一番高い駅のユングフラウヨッホに到着しました。11時半になっていました。ガイドブックや現地のパンフレットには素晴らしいアルプスの山並みが写真で載っています。ところが雪ばかりで、その雪が曇り空と溶け合い目の前は真っ白で山が見えません。気温は零下7度です。観光客は元気な中国人と韓国人の団体とわずかな個人客です。日本のツアーもいましたがおとなしいものです。そうそうに下山して、グリンデルワルトに途中下車しました。ここは日本人の宿泊が多い所で、日本語案内所もありますが、今日はお休みです。町にはスキー客が目立ちます。寒い中インターラーケン行きの列車を待つことになりました。
    帰りの電車では食堂車でビールを飲み、コンパートメントに席をとり、ヨーロッパの列車旅行の雰囲気を味わいながら帰りました。やはり夏に来なければ、スイスはいけませんかね?
    明日はマドリッドに移動の日です。次の宿はインターネットが出来ないのでしばらく更新できなくなると思いますが元気にやっています。
    11月25日(日):マドリッドへ


    バーゼル空港 柵の左がスイス右がフランス

    マドリッド 宿のある建物

    マドリッドへの便は午後4時なので、昨日の疲れもありゆっくりと起きました。今日は雨も降らなく薄日が差しています。
    帰りは来る時と逆でスイスのラインフェルデン駅からバーゼルに行きバスで空港までです。最初は戸惑いましたが毎日ドイツとスイスを往復していたことになります。一応スイスの鉄道も慣れました。スイス鉄道のホームページで検索すると、経路と乗り換え駅が出て、ホームまで書いてあります。ただしホームは変わることがあるので駅で確認が必要です。
    またバーゼル空港は面白いことにフランスに隣接していますので、フランス側とスイス側の出入り口があります。どうやら国境らしい金網が間を区切っています。フランスのアルザス地方にも近いので、今度は行ってみたいものです。
    飛行機は定刻に飛び立ち、ほぼ満席です。空から見るとスイスは雲に覆われています。はるか向こうにアルプスらしい山頂が雲の上に見えましたがやがて雲で見えなくなりました。
    イージージェットの機内食は有料ですが、メニューにインスタントラーメンがありました。3.5ユーロと格安です。さっそく注文して食べ終わる頃にはもうマドリッドに着陸態勢に入りました。降り立ったマドリッドは10度ほどで、暖かく感じました。
    マドリッドの宿も日本人が経営しているゲストハウスです。駅からタクシーに乗り行きましたが、降ろされたところが1本通りが違っていました。マドリッドはかなり物騒と聞いていましたので途方にくれましたが、通行人に道を聞き何とかたどり着きました。建物に入るカギとゲストハウスに入るカギ、それに自分の部屋に入るカギの3個を渡されて、ご主人からいろいろ注意を受けました。手ぶらでパスポートもコピーで持つのが良いそうです。
    なんだかんだと一日移動で終わってしまいました。
    11月27日(火):プラド美術館


    プラド美術館の行列

    プラド美術館正面 後ろ向きの銅像はゴヤ

    マドリッドも3日目になると多少慣れてきました。とはいってもスペイン語が分かりませんし、英語もほとんど通じません。町は大変大きいようなのですが、雑然としていてただの大都会です。
    今回のように一人旅ですと、レストランや食べ物屋に入るのも気後れします。また値段も高いので結局近くのスーパーで買ってきたもので間に合わせてしまいます。ヨーロッパではワインが安く美味しいのです。数ユーロのものでも日本の1000円以上の味です。3〜4分の1の値段かと思います。このワインにチーズやハムと野菜を食べています。チーズはロックフォートの青カビが2ユーロ弱で食べごろです。野菜ではレタスが大変美味しいです。トマトは買ってきましたが、皮が厚く日本の方が美味しいです。オレンジも美味しいのですが、売っている単位が大量なので敬遠しています。この宿では自炊ができないので残念ですが、エビやカニ、タコなども売られています。
    さて今日はプラド美術館に行ってきました。11時ころに到着するとかなり並んでいます。30分ほど待ち中に入りますとそんなに混みあっていません。絵画館としては世界一だそうで、膨大な絵画が広い館内に展示されています。案内図が分かりづらく、端から見て行きましたが見切れません。見逃さないようにと見た有名なものは、フラ・アンジェリコの「受胎告知」ボッシュの「快楽の園」ゴヤの「着衣のマハ」「裸のマハ」などです。その他スペインの三大巨匠のエル・グレコ、ベラスケス、ゴヤの作品はいやというほどありました。以外にもルーベンスがたくさんあり、当時のスペインとオランダの関係を感じさせました。昼食もとらず、3時過ぎまでいましたのでふらふらになりました。
    11月28日(水):トレド


    スペインの新幹線

    トレドの町

    トレドはエル・グレコの住んでいた町で、その町を対岸から描いた絵も有名です。マドリッド市内も変わり映えがしないので出かけました。
    いまいる宿は旧市内で、鉄道の出発駅プエルタ・デ・アトーチャ駅まで地下鉄で2駅です。月曜日に行ったソフィア王妃芸術センターの前で降ります。列車の切符を買う段になり要領が分らず困っていたら、そばにいた人が親切に教えてくれました。行く先の駅が表示されているところで買うそうです。買い終えると日本人がやはり戸惑っているようでしたので教えてあげました。列車はスペイン版新幹線AVです。30分ほどで着きました。
    バスに乗り市内に向かいます。10分ほどで終点のアルカサルに着きました。ここはお城ですが、スペイン内乱の戦場になったところで、改修中のため中は見学できません。しかし入り口があったので入ってみると、図書館と喫茶室に行けることが分かりました。喫茶室でコーヒーを飲み窓からトレドの町を眺め、図書館にも行ってみると屋上に出られました。降りてグレコの家を目指します。トレドの町は小さいのですが坂が多く迷路のような石畳で、すぐに自分がどこにいるのか分からなくなります。ようやく探し当てましたが休館です。観光地らしく土産物屋が多い路地を抜け、対岸まで行ってみることにしました。急な坂道を登っても絵にあるように町の全貌が見えません。いい加減であきらめて、お城のようなところから町を眺めました。ここはなんとユースホステルなのです。そう言えば町を歩いている時、アジア系の人から声をかけられました。中国系のカナダ人と言っていましたが、その彼にここでも出食わしました。今度はここに泊まりたいものだとか、話が英語で通じたので、今回イギリスに来たのも無駄ではなかったと思いました。
    11月30日(金):マドリッドでおとなしく


    考古学博物館入り口

    人類学博物館の中

    今日は特に予定もなく昼ごろまで宿にいました。一度目覚めたのですが、明るくなる8時頃までまた寝てしまいました。夜は6時に暗くなり、朝は8時にならないと明るくなりません。それに昨夜のカマンベールを肴に飲んだワインが効いているようです。
    それでも地下鉄の回数券もあることですし、考古学博物館と人類学博物館に出かけてみることにしました。マドリッドの地下鉄は路線もたくさんあり、大きな車両で慣れると便利です。時間帯によってはスリが出るそうです。まあどこでもそうでしょうが、人通りの少ない道は避けるとか、お金や持ち物は最小限にしてしっかり身につけるとかを守れば大丈夫です。日本人への強盗まがいの犯罪が多いので、外国人はパスポート必帯のスペインでも日本人だけはパスポートのコピーで良いそうです。
    さて考古学博物館と人類学博物館ですが、どちらも期待外れでした。考古学博物館は模様替え中なのか展示品が欠けていて迷路のような館内でした。庭にはアルタミラ洞窟のレプリカがあり、まっ暗い中で目が慣れると天井に壁画が見えます。太古の昔たいまつでも燃やしながらきっと描いたのでしょう。
    人類学博物館は見学しやすい構造で、アジア、アフリカ、アメリカに階が分かれています。人類学と民族学の区別も定かではありませんが、収蔵品もいまいちの気がしました。インカ帝国を滅ぼし、かつては世界に君臨したスペインですからもう少し期待して行ったのですが。それにしてもインカの黄金はどこに行ってしまったのでしょうか。みんな熔かしてしまったのでしょうか。
    12月 1日(土):リスボンへ


    イワシの炭火焼

    焼き栗の屋台

    地下鉄に乗り空港へ向かいました。10回分の回数券も最後の1枚残すだけです。何でもそうでしょうが、慣れると簡単なことでも初めてだと大変です。来たときは空港からタクシーでしたが帰りは地下鉄です。マドリッドの空港は四つターミナルまである大き空港ですが、地下鉄で市内に行け便利です。
    飛行機は30分ほど遅れましたがほぼ満員で飛び立ちました。イージージェットは飲食物が有料です。マドリッドに来た便ではスープとして日清のカップヌードルがメニューにあり美味しかったのですが、この便では外国製のものになっていて食べませんでした。1時間半で到着しました。今までは簡単でも各空港でパスポート検査がありましたがここではそれもありません。荷物を受け取るとすぐに出口です。
    リスボン空港からはバスで市内に向かいます。地図で通りの名前を見当つけてホテルを探しますが、坂が多くおまけに暖かなので汗が出てきました。途中で聞いてやっと探し当てました。中心の大通りから少し入って所です。このホテルは一昨日インターネットで予約したところです。バスルームが部屋にないと案内にありましたが、同じフロアーに2つもあり、ゲストハウス風です。ユーロ高でホテルの値段は高いのですが、今回は35ユーロでダブルの部屋を一人使用でした。
    暗くなりかけた町に出てみました。メインのリベルダーデ大通りを下ると旧市街の盛り場に出ます。1キロほどあるのですが、町の中心はそれで終わりです。道行く人もどこかのんびりしていて田舎風です。ところどころ煙を出して焼き栗の屋台が出ています。なにしろ海が近いので、魚介類を食べたいとお店を探しました。出来るだけ地元風な店を探し、イワシの炭火焼とワインを楽しみました。
    12月 2日(日):リスボン


    展望台からのロシオ広場

    ケーブルカー

    ルノアールのモネ夫人像

    今日はリスボン市内から少し離れたべレン地区に市電で行く予定です。エンリケ王子の発見のモニュメントやべレンの塔などありますが、日曜の午後2時までは無料で入れるのです。また市電も一日乗車券を買うとお得になります。
    そんなわけでまずは一日乗車券を買いに行きました。ガイドブックにあった所は発売中止で、別の場所で買いましたがすごい行列です。30人ほど並んでいましたが、なかなか前へ進みません。しかも窓口は一つしか開いていません。買ってすぐチケットをこすっている人もいましたので、何か別の宝くじのようなものでも販売しているのでしょうか。みんな黙って並んでいます。自動販売機を置くとか、窓口をもっと開けるとかすれば良さそうなものなのにとつくづく思いました。
    なんとか買って市電の乗り場に向かいましたが様子が変です。市電が走っていないのです。停留所に貼り紙がしてあり、ポルトガル語で分かりませんが、今日は運休と書いてある雰囲気です。そう言えばそこらじゅうマラソンで走っている人がいました。ポリスもたくさん出て、なにか市民マラソンの大会が開かれているようです。きっとそのためだと納得しました。
    今日行く所は市電で行く所ばかりなので、計画はご破算となりました。市電の一日乗車券が無駄になってしまうのでしょうか。ところがこの券は強力です。市電のほかにバスや地下鉄それにケーブルカーとエレベーターで上る展望台の料金も含まれているのです。狭いと言いながらも歩くとアップダウンの激しい町ですから結構疲れます。これを利用して回ってみることにしました。まわりにはどうやらマラソンを終えた人たちがペットボトルを持ってうろうろしています。
    まずは近くの展望台に上ってみました。なにかの100年記念に作られたようです。眺めは良いのですが、裏が高台でそこからも同じ景色が見えます。つまり上った所から外に出ると、高台の町になるのです。旧市街の繁華街のすぐ脇は小高い丘になっています。
    丘に登るように、ほんの数100mのケーブルカーが何本かあるようです。近くのケーブルカーに乗ってみることにしました。かなりの急こう配を登ります。利用する人はほとんど観光客で、みんなカメラで写真を撮っています。登った所に教会があり、そのサン・ロケ教会は日本の天正遣欧少年使節団が滞在した所だそうです。またイアタリアバロックの傑作としても知られている教会です。中に入り、400年前に来た天正遣欧少年使節団にしばし思いをはせました。
    次は地下鉄を利用してグルベンキアン美術館に行ってみました。ここはグルベキアンと言うアルメニア人で、石油王の個人コレクションの美術館です。日曜は無料開放です。最初に入った棟は現代作家の展示ばかりであまり面白くなく、無料だから見学を制限しているのかと帰りかけました。外に出ると別棟があり、そこが本来の美術館でした。時間も迫り駆け足で見ましたが、個人でと考えると大変なコレクションです。見たことのあるものとしては、ルノアールのモネ夫人像がありました。
    ハプニングから始まった一日でしたが、一日乗車券も十分元を取れて、なかなか充実していました。
    12月 3日(月):ロカ岬


    ぺーナ宮殿

    ロカ岬

    天気予報はまあまあで気温は東京より高いくらいです。朝心地よく目覚めたのでロカ岬に行くことにしました。
    もう大体のリスボンの地図は頭に入ったので、地下鉄に乗り鉄道の駅に行きました。まずはこれも名所のシントラまで行きます。約40分ほど総武線のような電車に乗りました。驚いたのは料金の安さです。スイスやドイツではこの3倍はします。シントラでは市内の観光巡りバスとロカ岬行きのセットバス券を売っていました。これを買い、丘の上のぺーナ宮殿に向かいましたが雲行きが怪しいです。みるみる雲か霧が迫ってきます。遙かに見えていた大西洋もかすんで来ました。宮殿そのものは見ごたえがありましたが、天気が心配で早々にロカ岬に向かいました。
    ロカ岬はユーラシア大陸の最西端で「地の果て、海のはじまる所」です。沢木耕太郎の深夜特急はロンドンが最終目的地だったと思いますが、なぜかかこの岬の記述が印象に残っています。
    岬に着き茫漠とした大西洋を眺めました。写真で自分を撮ってもらうよう近くの人に頼んだら日本人でした。若い彼はその後いつまでも海を眺めていました。海から霧が押し寄せて来て、海と空の境も定かではなくなったころ帰りのバスが遅れて到着しました。
    12月 4日(火):べレン地区


    ジェロニモス修道院

    発見のモニュメント 一番前がエンリケ航海王子で3人目がバスコダガマ

    日曜日に行けなかったべレン地区に行ってきました。
    市電に乗り、ガイドブックの駅名を探しますがありません。15番に乗れば良いのですが、確か15Eとか書いてある市電に乗りました。そのためでしょうか。大体30分くらいとのことで、ある駅に到着すると結構人が降りて行きます。近くの人に確認すると目的の駅です。
    まずすぐ前のジェロニモス修道院に向かいました。ここは16世紀にエンリケ航海王子の業績と、バスコダガマのインド航路開拓記念をたたえるために建てられた修道院だそうです。入口でチケットを買うため並びましたが、前で団体チケットを買う人が手間取っています。そのうち係員が待っている人に入れと合図します。ぞろぞろと無料で入場しました。しかし中は修理の真っ最中です。工事現場を見ているようで、これなら無料も納得です。
    見終わって海ぞいの発見のモニュメントに向かいました。エンリケ航海王子の500回忌を記念して1960年に建てられた高さ52メートルのモニュメントです。テージョ川からの風は冷たく、霧も出てきました。中にはエレベーターがあり一番上まで行けます。登ってみましたが、霧でリスボンもかすみ、見栄えがしません。ユングフラウの二の舞です。
    帰りの市電がなかなか来ません。バスが頻繁に来るので、路線図を見ると市内に戻るバスが分かり、帰りはバスに乗り込みました。
    時間も早いので、いつも見あげているサン・ジョルジュ城に向かいました。結構な急坂で息が切れます。行ってみると、入場料を5ユーロもとるのにお城の建物ばかりであとは公園です。肝心の眺めも霧のためかすんでいます。下から眺める方がよっぽど良い城でした。

    ユーロが余りましたのでこれからファドを聞きに行ってきます。
    12月 5日(水):一周してロンドンに


    ファディスタ(ファドの歌い手)

    朝ホテルの窓から

    日付が変わりましたが昨日の続きです。
    楽しかったヨーロッパ周遊も最後の晩で、つい先ほどまでファドを聞きに行っていました。
    良く分かりませんがファドは演歌のこぶしのないような歌です。起源ははっきりとしませんが19世紀に成立したようです。多分歌詞で聴かせるのでしょう。言葉が分りませんが、それでも哀感を持った歌が訴えてきます。日本や韓国の演歌と共通したものが感じられます。10数席しかない小さなレストランで、隣り合わせたオーストリア人が英語で話しかけてきました。仕事で来ているそうです。やはり多少でも英語ができるとコミュニュケートできます。しかもぐうぜん同じホテルに泊っているのが分かり、帰りは一緒に帰って来ました。

    ぐるりと回った旅も終わりです。今朝はロンドンに帰ります。荷つくろいをして霧の中、石畳の道を空港バスの乗り場まで歩いて行きます。
    飛行機は1時間半ほど遅れましたが、カウンターに表示が出るわけでもなく、みんな黙って待っています。ようやく飛び立つと、乗り合わせたポルトガルの人は拍手をして大騒ぎです。着地時にも大拍手です。ルートン空港の入国チェックはEC外の国籍の人には厳しく時間がかかり、娘の家にたどりつくともう夜でした。外国とは言えイギリスに着くと、いろいろ勝手が分かるのでほっとしました。
    22日間のヨーロッパ周遊も特にトラブルもなく楽しく終えました。しいて言えば、寒いので戸外の観光にはあまり向いていない季節です。その分美術館に行くとか音楽を聞くとかすれば楽しめると思います。
    12月7日(金):ヨークに行く


    クリフォーズ・タワー

    ヨーク・ミンスター

    最後の旅行です。イギリスのほぼ中央にある古都ヨークに行きました。
    キングス・クロス駅を8時半に出発する列車は30分遅れとのアナウンスで、一列に並び列車を待ちます。誰も文句など言わないで、おとなしく並んでいます。ようやく走り始めた車窓にはイギリスの田園風景が流れて行きます。緑の放牧地とその間にある茶色い畑、そして石造りの家々が見慣れた風景として目に入ります。最近回ったヨーロッパの国々と比べて、落ち着いた風景です。スイスでも列車から見ていると、雑然とした建物が目に着きましたが、イギリスではほとんどありません。画一的と言えばそうですが、石造りの同じような建物が整然と並んでいます。
    約2時間でヨークに着きました。晴れていますが風があり寒いです。旧市街は城壁に囲まれていて歩いて十分回れる広さです。大勢の観光客が歩いています。旧市街を歩きまわり、城壁も上ってみました。軒の張り出した木組の家などがあり、マーケットも開かれていて明るい活気のある雰囲気でした。旧市街のはずれには、クリフォーズ・タワーがあります。これはモットと呼ばれる中世の城の原型として代表的なものです。ローマが滅び、技術は衰退して、こんな土を掻きあげたものから中世の城は始まったのです。
    最後にヨーク・ミンスターという15世紀に完成した、イギリス最大のゴシック建築の教会に入りました。まず階段を上り、塔に上ります。風が強く西の空ははや夕焼けです。下に降りて名物のステンドグラスを見ましたが、外も中も薄暗く、何の絵柄かもはっきりしない状態でした。
    12月 8日 (土):ヨーク二日目


    マーチャント・アドベンチャラーズ・ホール

    9 3/4プラットフォームの標識

    朝から雨です。昨日着いた時にi(インフォメーション・センター)で取ったB&Bを出て、街の散策です。
    城壁の続きを歩きましたが、雨は降りやまず建物の中に入ることにしました。クリフォーズ・タワーのそばのヨーク・キャッスル博物館に入ってみました。中にはビクトリア時代の街並みが再現されていて、商店ではお土産を売っています。ビクトリア時代は大英帝国栄光の時代でイギリス人は大変好きなようです。
    どこの建物も満員で、マーチャント・アドベンチャラーズ・ホールと言う15世紀以来のギルドの建物に入ってみました。大きな木の梁のある集会所は、今でも現存するギルドによって使用されているそうです。2007年度の組合長までの歴代の名前も掲示されていました。昔、ロンドンに次ぎヨークが繁栄していた時代もあったそうです。
    遅い昼食はイギリス最後のフィッシュ&チップスにしました。他では見たことがない大きなフィッシュ&チップスのお店でしたが、味は大変良かったです。
    帰りも到着はキングス・クロス駅です。思いだして「ハリー・ポッター」の9 3/4プラットフォームを探してみました。7番線ホームの中ほどから外にある切符売り場に出たあたりにありました。
    12月10日(月):日本への移動


    乗り換えのインチョン空港

    アシアナ航空は空いていました。大体なか一つぐらい空けてみんな座っています。ロンドンヒースロー空港を出ると、すぐに食事です。
    アシアナ航空を選ぶのはスターアライアンスグループでユナイテッドのマイルがたまる事と、料金が安い事、機内食で韓国料理を食べられることなどです。ただし直行便ではなく、インチョン空港で乗り換える必要があります。途中降機で72時間はソウル滞在ができますので、これを利用して以前は行き帰りにソウルを訪れたものです。さすがに今回はそこまでの元気がないので、このブログを書きながら空港で乗り換え便を待っています。このインチョン空港はハブ空港として、アジアの各地に行くことができます。ついでに韓国旅行をするつもりなら、大変便利な航空会社です。以前の機体は前の席の背につぎが当たったりしていたこともありますが、今はそんなことはありません。日本語のできる客室乗務員もいて、スターアライアンスグループ加入で大変良くなったと思います。
    さて日曜の夜9時にヒースロー空港を出発して成田には月曜の夜9時に着きました。久しぶりの日本でなにかしら違和感を感じるものがあるかと思いましたが、特に変わったことはなく、いつも通りの横浜行きの空港バスに乗り込みました。
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